研究結果---ベーポライザーにより大麻喫煙時の煙に含まれる有害物質が大幅に除去できる
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2003年5月8日(カントン、マサチューセッツ州、アメリカ) |
NORML財団の一部援助によるカリフォルニアNORMLと複合サイケデリック研究協会(Multidisciplinary Association of Psychedelic Studies, MAPS)の共同研究により、ベーポライザー(気化器)を使用することにより、大麻喫煙時の煙に含まれる有害物質が除去できることが示された。
NORML委員でありMAPS会長のリック・ドブリン氏によると「現在、大麻喫煙と肺癌を結びつける科学的根拠はないものの、ベーポライザーの使用は、大麻が燃焼される際に発生する不要な物質が除去される、有効な非喫煙摂取方法である」と語った。
Chemic Laboratories, Incが実施した、ガスクロマトグラフ質量分析装置 (Gas chromatography mass spectrometer、GCMS)を用いた試験の結果、『ボルカーノ』の商品名でドイツで売られているベーポライザーを使用した際に発生する、大麻気化ガスに含まれている成分は、THCが圧倒的な大半を占め、発ガン性の危険があるとされる物質に関しては、微量(5%以下)しか含まれていないことが確認された。対照的に、大麻を燃焼させた際に生じる煙には、数種類の多核芳香族炭化水素(PAHs)等、タバコの煙にも含まれる発ガン性物質を含む100を超える化学物質が確認されている。
大麻喫煙による呼吸器官への悪影響は煙に含まれる有害物質の副産物によるものであり、大麻の有効成分であるカンナビノイドによるものではない。ベーポライザーは、大麻をカンナビノイドが気化される温度(約200℃)まで加熱するが、大麻が燃焼されるのに必要な温度(約250℃)までは加熱しない。
過去に実施された研究試験でもベーポライザーの使用が大麻喫煙に関連した有害物質を低減させるとの結果が示されていたが、実際に気化ガスの分析により広範囲にわたる有害物質の低減が確認されたのは今回の研究が初めて。過去のカリフォルニアNORMLとMAPSの共同研究では、水パイプの使用では、有害タール類の除去効果は薄いとの結果が得られていた。これは、水パイプのフィルター効果が有害タールを除去するのと同時に、同程度の有効成分であるTHCをも除去していためだった。
カリフォルニアNORMLコーディネーター、デール・ギーリンジャー氏は「この研究結果が示唆するのは、医療大麻を使用する患者がベーポライザーの使用により喫煙に伴う呼吸器官への悪影響を避けられるものだ」と語った。1999年の科学アカデミー医薬研究所(National Academy of Sciences Institute of Medicine, IOM)は医薬品としての大麻利用について「喫煙に伴う(呼吸器官への)リスクを除けば、大麻使用に伴う副作用は他の医薬品でも認められる範囲内である」とした。
現在、被験者を対象としたベーポライザーの効果を探る連邦政府公認の研究は存在していないが、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のAIDS研究者ドナルド・アブラムズ博士によるベーポライザーと喫煙を比較した人体の血中カンナビノイド濃度に関する研究の補助金申請がカリフォルニア医療大麻研究センター(California Center for Medical Cannabis Research, CMCR)に提出されている。
(出典:NORML News Archives)
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