桂川さんの減刑嘆願書
(桂川救援 関西勝手連)
内容抜粋(全文)


※以下は嘆願書の本文からの抜粋(全文)です。

減刑嘆願書

大阪高等裁判所第6刑事部 裁判官殿
 
  桂川直文(以下、桂川さん)は、昨年7月14日、長野県の自宅において大麻取締法違反で逮捕され、その後、大麻取締法、覚せい剤取締法、麻薬及び向精神薬取締法で起訴され、今年4月14日、大阪地裁で懲役5年の実刑判決を受け控訴しています。現在、大阪高裁で桂川さんの裁判が行われておりますが、わたしたちは、裁判官殿に以下のような理由で桂川さんへの減刑を嘆願いたします。 

(一) 
  桂川さんの自宅から押収された大麻以外の規制薬物は、ごく微量で、それらは桂川さんの家を訪れた人が置いていったものを放置していたものでありました。覚せい剤などは使用していないことが一審の判決でも明らかになっています。また、押収された大麻の栽培本数(94本)や所持量(3.5キログラム強)という数字は他の大麻事件の裁判と比較して、著しく多量であるとは言えません。
  桂川さんは、大麻の栽培・所持・譲渡についてそれぞれ営利目的ということで裁かれていますが、桂川さんは長年、地元で家業の印刷業と副業として農業に従事してきたごく普通の社会人であり、犯罪組織との関わりなどありませんし、いわゆる薬物の密売に関わるような人物ではありません。
  桂川さんが大麻を譲渡した人の中には医療目的だったという人もいたというように、違法でありながらも善意に基づいた行動であり、見境なく大麻を広めていたわけではありませんでした。桂川さんの栽培した大麻によって、心身の健康を害したり社会生活に支障をきたしたというような人は一人もいませんでした。桂川さんの行動は、犯罪ではありますが、被害者はいません。
  桂川さんは、法律に疎かったことは事実であり、また天衣無縫の性格が災いしたということもあると思います。それらについて十分、反省しているとともに、マスコミや地元ローカル紙で実名報道された上、既に一年以上勾留され、高齢のお父さんの看護ができない状況下にあることなど社会的制裁を受けています。
  このように犯意のそれほどなかった人物が懲役5年という重い刑罰を受けるのはあまりに酷なことであります。

(二)
  桂川さんは、以前から書籍や雑誌の執筆などの言論活動を通して大麻の自由化を主張してきた人物として知られていました。検察の冒頭陳述では「大麻の合法化運動」との関わりが言及されるなど、桂川さんの大麻についての考え方や意見といった思想信条を糾弾する姿勢が見受けられますが、このような扱いは「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」(憲法第19条)、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」(憲法14条)という基本的人権を侵害するものであります。

 事実上、大麻取締法の違反により懲役5年という重い刑罰を下されるのは、人道的に見て理不尽なことです。1990年代以降の海外の主要先進国に於ける信頼性のある研究では、大麻の有害性はそれほど高くはないことが明らかになっており、EU諸国やカナダ、オーストラリアなどの国々では、政府が大麻の取り締まりに関し刑事罰から外す、いわゆる非犯罪化が進んでいます。
  それほど有害でもないものを、過度に厳しく罰するわが国の現状は理不尽であり、人権侵害ではないかと思います。国際社会を鑑みますと、市民の人権に配慮している国は、同時に大麻の非犯罪化を実現している国でもあります。桂川さんが重い刑罰を受けることになるのならば、それは日本に於いて、基本的人権がないがしろにされていると言わざるを得ません。

 裁判官殿には、以上のような面を配慮していただき寛大な判決を下されるようお願いいたします。

「桂川救援 関西勝手連」 和歌山県有田郡吉備町大字大谷237-2