2007マリファナ・マーチのお知らせ vol.2


2007マリファナ・マーチのお知らせ vol.2

(2007年5月3日/カンナビスト事務局)

 今日、5月3日は憲法記念日です。わたしたちは、これまで現在の日本の大麻の取締りは、憲法の最も根幹にある基本的人権に反していると主張してきました。各地の大麻事件裁判でも大麻取締法は違憲であると訴えてきました。
 5月13日(日)、東京の青山公園(南地区)で大麻(マリファナ)の規制緩和を訴える世界共通行動「マリファナ・マーチ」を行います(注1)。午後4時から大麻問題をはじめとして人権・マイノリティ・多様な価値観の共存を掲げた「ヒューマン・パレード」を行います。
http://www.cannabist.org/report/mmm2007/index.html
http://marijuanamarchjapan.blog56.fc2.com/

■ヒューマン・パレードには、大麻・薬物問題だけでなく、在日外国人・そしてその子供さんたちの人権、セクシャル・マイノリティ、性同一性障害の問題に取り組んでいる人たちなど、今の社会で偏見や誤解の目にさらされている人々が参加の声を上げています。また、当日は日本国憲法や人権問題などを取り上げたフィルム作品を紹介するブースも出展参加を予定しています。

■わたしたちは、これまで大麻事件の裁判の支援をはじめ、マスメディア関係者や政治家の方々に大麻問題について説明を行ってきました。前回、お送りさせていただいた「お知らせ(vol.1)」で書きましたが、今の日本の大麻取締りは公権力による人権侵害ではないかと訴えてきました。
 その前提として、大麻の有害性は比較的軽微で、人を自由刑に処すほどの有害性、危害はないという事実があります。それはG7のような主要な先進国の間で、日本以外の国では認められていることです。
 最近では、大麻の使用は、覚せい剤など他の有害な薬物を使用するようになる入口になるから取り締まるという意見も耳にするようになりました。大麻自体の有害性の有無を論点にせず、危険な覚せい剤の入口になるから大麻の規制は必要だというわけです。
 しかし、このような意見はこじつけだと言わざるをえません。1970年代の前半から世界各国の研究機関で大麻の使用とより有害性の高いハード・ドラッグの間に因果関係があるか調査をしてきましたが、それを肯定する発表はありません。30年以上の時間を費やして調査しても検証できないのです。逆に、アメリカ政府の公的調査(IOMレポート)では、それを否定する結論が出ています。
 結局のところ、大麻に対する誤解や偏見が先入観としてあるため、大麻を規制する理由として、有害な薬物への入口になるという仮説が流布されているのと言うことができます。

■大麻取締法により年間3000人を超える市民・学生が逮捕されています。最近、痴漢冤罪事件を題材にして日本の刑事裁判の実態をリアルに描いた映画「それでもボクはやっていない」(周防正行監督)が話題になりました。
 大麻で逮捕された人たちは、刑事事件の被疑者として扱われます。手錠をはめられ、社会から隔離され拘置所に収容させられます。わたしたちは、大麻の非犯罪化(刑事罰を科さない処遇)を求めてきた市民運動であり、他の薬物には言及してきませんが、ここで薬物問題に対するわが国の対応に問題があることを指摘せざるをえません。
 EU 諸国でもG7でも、薬物の問題は、使用者に対して治療、健康の面から対応しています。ところが日本では薬物の使用者は、強盗や傷害などと同じ刑事犯として扱われます。現在、わが国では刑務所の収容者が定員をこえる状態になっていることが問題化していますが、「薬物犯罪」(この場合は覚せい剤ですが)を刑事犯罪として扱ってきたことがこのような事態に至った大きな要因のひとつです。
 誤解のないようにふれておきますが、わたしたちは覚せい剤など有害性の高い薬物の規制を緩めるよう求めているわけではありません。大麻を他の有害性の高い薬物と切り離して考えるように求めているのです。
 また、大麻も含めて薬物の規制は社会にとって必要ですが、今の日本は刑罰が過剰であること、薬物の使用者に対しては治療、健康の面からの処遇を考えるべきだと提起しています。

■人は自分の目に見えないところで起きていることには気づかないことがあります。社会的な問題があっても見えない、存在しないかのように見過ごしてしまうことがあります。わたしたちは、大麻問題はそんな扱いを受けているのではないかと思っています。
 いま日本各地の刑務所で大麻の個人使用で(非営利で)、何年も服役している人たちがたくさんいます。その中には20代の若者もいますが、人生を築いていく上で、学業や仕事を学んだり、友情を育んだり、伴侶との出会いを求める時期を、壁の中に閉じこめられて過ごすというのは大きな悲劇です。
 このような状況は、法律(大麻取締法)があって、それに基づき行政当局は逮捕し、裁判所は判決を下しています。しかし大麻取締法は、占領下の1948年、進駐軍の主に米軍兵士の規律を守るために作られた法律でした。その後、大麻による健康障害や二次犯罪などは起きていないにもかかわらず改定を繰り返し重罰化が進みました。
 わたしたちは、自分たちの友人や知人が大麻取締法違反で逮捕され、それまでの人生が崩れるような不幸な境遇に陥ったことを目にして、これは理不尽なのではないかと思うようになりました。彼らの多くは、ごく普通のまじめな市民・勤労者であるだけに、人情として何か救済の手だてはないかと考えるようになりました。

 この「マリファナ・マーチ」は、そんな声があることを明らかにするための集まりです。集会では、フリースピーチ、展示、音楽、パフォーマンスのほかフリーマーケットなども行います。集会終了後、午後4時(予定)からはいろいろな人権問題に取り組んでいる人たちと共に、ヒューマン・パレード(行進)を行います。

■マスメディアの取材など、積極的に対応いたします。ご関心のある方は、カンナビストまでご連絡ください。

○連絡先 カンナビスト 03-3706-6885/090-6049-0518 info@cannabist.org
○マリファナ・マーチの日時・場所
日時:5月13日(日)12開場。ヒューマン・パレードは午後4時スタート(予定)。
場所:青山公園(南地区)/港区六本木7丁目。東京メトロ千代田線「乃木坂」徒歩1分、日比谷線・都営大江戸線「六本木」徒歩5分

(注1)マリファナ・マーチは毎年5月に世界各国の180を超える都市、町、村で行われる非営利の世界同時イベントです。大麻(マリファナ)の規制の見直しを求めて1998年にスタートし、日本では東京、大阪、札幌などで開催されています。
 マリファナ・マーチの世界共通スローガン……「医薬品として認めよ!(Release The Medicine) 大麻で逮捕するな!(Stop All Cannabis Arrests) 病人を救え!(Heal The Sick)真実を語れ!(Stop The Lies) 自由を奪うな!(End The Prison State)」

(注2)カンナビスト……日本の大麻(マリファナ、カンナビス)取締りは、著しい有害性は認められない大麻に対し過剰に厳しい刑罰を科しており、年間3000人以上の市民が逮捕されている状況は公権力による人権侵害であると訴えている非営利の市民運動。
 1999年設立、会員4288人。http://www.cannabist.org/

※このイベントは日本国憲法第19条(思想・良心の自由)、21条(表現の自由)に基づくもので法律を遵守して行われます。