自主退学問題についての声明

自主退学問題についての声明

 

2005年8月11日
カンナビスト運営委員会

 今年5月、大麻問題に関連して高校生2名(AさんとBさん)が自主退学を勧告されたという事件がありました。
  カンナビストとして直接、本人たちと話をしたことはありませんでしたが、友人を通じて事情を聞いた上で、学校側に対し未来ある若者の将来に配慮して対応されるよう要望書を送付しています。
http://www.cannabist.org/database/ourstatement/20050557jishutaigaku.html
  ところが、7月下旬になって突然、その友人からBさんが自らの命を絶ったという連絡がありました。

 このような結果に至ってしまった理由についてはっきりとしたことは解りませんが、もし仮に学校に通い続けることができていたら、状況は違っていたかもしれないと思うと、たいへんに残念でなりません。
  ご家族や友人の方々のご心痛を察するとともに、Bさんのご冥福を心よりお祈りいたします。

 この問題の背景には大麻取締法により大麻が犯罪として過度に厳しく規制されているという事実とともに、一般に広まっている大麻は危険な薬物であるという誤解と偏見があるように思います。

 ところで大麻問題が話題になる際、成人が自らの責任で大麻を使用することの是非やその規制の範囲といった問題とは別の問題として、未成年への悪影響を危惧する意見を耳にすることがあります。
  しかし、残念ながら、そういった意見は、「薬物乱用」という先入観にとらわれた表面的イメージだけで語られている場合が多く、「大麻=違法薬物=悪」であり「非行の原因になる」ので厳しく規制しなければならないというような、偏見や誤解に基づいた短絡的な判断をしている人が少なくありません。
  もし本当に将来ある若者のためを思うならば、規制に反した人間に対して制裁・処分を加えることによって生じる犠牲の大きさについてもきちんと目を向けるべきです。

 人間的に責任のある判断を下すためには、その犠牲の大きさを正当に評価することが必要であり、そのためには大麻について正しい認識を持つことが不可欠です。大麻には「有害性」があるのか、大麻取締法は妥当性があるのかといったことを偏見や誤解のない立場から見直していかねばなりません。
  大麻を危険な薬物として厳しく取り締まったり、事実を歪めて危険性ばかりを誇張する「ダメ。ゼッタイ。」のような教育によって、実際に何が守られ、何が失われたのでしょうか。そのような代償は果たして、その効果に見合うものなのか、より多くの不幸を生んでしまっているということはないのか。
  こうした当たり前の疑問に対して、誰からも責任のある説明を得られず、きちんと納得できる理由が示されないまま、今のような厳しい取り締まり政策を続けていくことに意味があるとは思えません。その代償はあまりにも大きすぎます。

 わたしたちはこれまで、大麻に対する法的な刑罰を含めた社会的制裁の不当性を指摘し、その見直しを求めてきました。今回の事件を通じて、特に若い人たちにとって、心に大きな傷となり残ってしまうという問題の大きさが改めて浮き彫りになりました。

 二度と今回のような取り返しのつかない結果を生じさせないため、また同じように悩み苦しむ人を一人でも減らすことができるように、大麻に対する誤解と偏見を正し、現在の過度に厳しい大麻の取り締まりの見直しを求め、刑罰の軽減化を一日も早く実現するために努力していくという決意を新たにしました。