東京マーチの会場問題で
カンナビストは代理人を立てて
東京都に対し申入書を送りました。


3月14日、一般の人たちにも活動の趣旨が正確に伝わるようにマーチ運営を改善する
という合意の下で使用許可が受理されました。

下記の通り、東京マーチでの井の頭公園の使用許可をめぐり、カンナビストは代理人を立てて公園管理事務所(東京都)との交渉を行ってきました。

3月14日、再度、井の頭公園管理事務所に出向き、使用許可を得るための話し合いを行いました。カンナビストの活動内容について説明し、公園側の意見を聞きました。この結果、双方の理解が進み、近隣の人たちの誤解を招かないように、一般の人たちにも活動の趣旨が正確に伝わるようにマーチ運営を改善するという合意の下で使用許可が受理されました。

皆さんにはご心配をかけましたが、東京マーチを5月8日(日)、井の頭公園で行うことに決定しました!

なお、本件に関して緊急募金を呼びかけていますが、すでに弁護士費用が発生していることと、余剰金が出たらマーチ開催のための経費に充てることで、少しでも内容を充実させ、多くの人たちに告知できるようにしたいと考えており、緊急募金についてはこのままマーチまで継続させていただきます。


東京マーチの会場問題でカンナビストは代理人を立てて東京都に対し申入書を送りました。

2005年3月7日/カンナビスト運営委員会


東京都との交渉に際し、
緊急募金の呼びかけ


2005年マリファナ・マーチ(正式の使用申請名称は「カンナビスと人権を考える集い」)の会場として、カンナビストは、2月10日に東京都の管轄にある井の頭公園の野外ステージの使用申請を行いましたが、公園管理事務所からは、はっきりした理由が示されないまま受理されない状態が続いています。

昨年度は、井の頭公園の野外ステージの使用申請が不受理となりました。それに対してどういう理由で不受理とされたのか具体的な理由を尋ねる文書を送りましたが、返事がないままでした。

このような公園管理事務所(=東京都)の一連の姿勢は、憲法21条で保障されている集会、結社及び言論の自由に対する重大な侵害であり、わたしたちはこれを見過ごすわけにはいきません(注※1)。大麻問題について公開の場で、語り合い、考えることがどうしていけないのでしょうか。

2月10日、井の頭公園の公園管理事務所の窓口の担当者は「青少年の教育に良くない」という発言をしていますが、そこには大麻、及び大麻問題に対する偏見があるのではないでしょうか。そのような判断を公園管理事務所が独断で、一方的に行い、それを理由に市民からの申請を受け付けないという今回のような事態は、本来、民主主義の社会ではありえないことだと思います。

現行の大麻取締法には問題点が多々あるという信条を持つ国民には公園の使用を認めないというのだとしたら、それは憲法で保障されている法の下の平等に反する差別行為と言わざるを得ません(注※2)。

この問題は、公園の使用許可を巡る一事案ですが、それを通じて日本の行政が本当に民主的に運営されているのか、市民の人権を行政がどのくらい真剣に考えているのかといった問題でもあると思います。

今回、わたしたちは代理人を通してその公園管理事務所(=東京都)の対応の不当性を指摘し、公園の使用申請を受理するよう申入書を送付しました。また、今後の事態の推移によっては、行政訴訟(公権力の行使の適法性を争い、その取り消し、変更などを求める訴訟)も辞さないことを明らかにしておきます。

送付文書

申 入 書

2005年3月8日

東京都新宿区西新宿2丁目8番1号
東京都知事 殿
東京都新宿区西新宿2丁目8番1号
東京都庁第2本庁舎
東京都建設局長 殿
東京都新宿区西新宿2丁目8番1号
東京都庁第2本庁舎
東京都建設局公園緑地部長 殿
東京都庁第2本庁舎
東京都建設局公園緑地部公園課長 殿
東京都武蔵野市御殿山1−17−59
西部公園緑地事務所長 殿
東京都武蔵野市御殿山1−18−31
井の頭恩賜公園管理所長 殿
申入人
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松本 賢

東京都千代田区麹町4丁目7番地8
地引第2ビル407号      
リンク総合法律事務所      
TEL 03−3515−6681
FAX 03−3515−6682
申入人代理人弁護士 山口 貴士

当職は、松本賢の代理人として、御庁らに対し、以下のとおり申し入れをします。

1 御庁らの対応
松本は、2005年2月10日、井の頭恩賜公園管理所長に対し、「カンナビスと人権を考える集い」に使用するために、野外ステージ使用申請をしましたが、「青少年の教育に良くない」という理由から、口頭で受理を拒否されました。

2 御庁の対応の不当性

(1)しかしながら、御庁らが松本による公園の使用を許可しないことは、以下に述べるとおり、憲法21条の保障する集会の自由を侵害することは勿論、東京都立公園条例の解釈を誤ったものであり、違憲かつ違法な処分ないし対応です。

(2)都立井の頭公園は、地方自治法244条に言うところの、公の施設に該当しますから、東京都は、正当な理由がない限り、これを利用することを拒むことは許されず(同条2項)、また、その利用について不当な差別的取扱いをすることは許されません(同条3項)。東京都立公園条例は、同法244条の2第1項に基づき、公の施設である都立公園について定めるものであり、東京都立公園条例16条、同17条は、その利用を拒否するために必要とされる右の正当な理由を具体化したものです。
同法244条に定める普通地方公共団体の公の施設として、井の頭公園のように集会の用に供することが出来る公園が設けられている場合、住民等は、その施設の設置目的に反しない限りその利用を原則的に認められることになりますので、管理者が正当な理由もないのにその利用を拒否するときは、憲法の保障する集会の自由を制約することになり、憲法21条に違反します。
したがって、集会の用に供される公の施設の管理者は、当該公の施設の種類に応じ、また、その規模、構造、設備等を勘案し、公の施設としての使命を十分達成せしめるよう適正にその管理権を行使されなくてはなりません。
  このような観点からすると、東京都立公園条例16条10号、同17条は、公園の使用不許可をも含めた使用制限を可能にすることが出来る事由として包括的に規定していますが、同規定は、公園の管理上支障が生ずるとの事態が、許可権者の主観により予測されるだけでなく、客観的な事実に照らして具体的に明らかに予測される場合に初めて、本件会館の使用を許可しないことができることを定めたものと制限的に解釈されなくてはなりません(参照、最高裁平成8年3月15日付(いわゆる上尾市福祉会館事件判決))。
 しかし、今回の松本による公園の使用許可申請には、公園の管理上支障が生ずるとの事態が、許可権者の主観により予測されるだけでなく、客観的な事実に照らして具体的に明らかに予測されるような要素は全く存在せず、条例第17条を根拠に使用を不許可にすることは違憲かつ違法です。
なお、御庁では、「青少年の教育に良くない」との理由で、受理を拒否していますが、前記したような最高裁判決に鑑みて、使用を許可しない根拠にはなりえないことは明白です。

(3)仮に、今回の使用の不許可が「大麻の規制の見直し」について議論をし、意見を発信するという集会の内容に着目してなされたのであれば、それは、まさに憲法上保障された表現の自由、集会の自由に対する侵害であり、到底許されないものです。
 大麻取締法は、法制定当時の多数意志により制定されたものですが、国民の持つ価値観は絶えず変化しており、今日の多数派が明日の多数派であるとは限りません。また、人間は試行錯誤を繰り返す存在であり、多数派の意見が常に正しいとも言えません。少数派がその意見を表明する手段を保障し、多数派となる機会を付与することは、民主主義の基本原理です。
 申入人らは、井の頭公園において大麻を使用し、あるいは、その使用を推奨しようとしているのではありません。大麻について情報を共有し、「大麻の規制の見直し」について議論をしているに過ぎません。
  このように、大麻を使用するということと、現行の大麻取締法について情報を発信し、議論をすることは全く異なるものであり、御庁がなおも、申請の受理を拒否し、あるいは、使用を不許可にされるようなことがあれば、これは、「大麻の規制の見直し」の枠を超えた、憲法上保障された人権である「表現の自由」、「集会の自由」に対する重大な人権侵害行為であり、申入人らとしても、法的措置を講じることは勿論、御庁による人権侵害行為について記者会見した上で、広く世間に問うことと致します。

3 最後に
本申入書が到達してから、申入人は再度野外ステージ使用許可申請をする予定です。その際には、本申入書の趣旨を十分に踏まえた上で、使用許可を認められるよう、本書面をもって申し入れます。
 なお、本件については全て当職が委任を受けておりますので、ご連絡などは当職宛にお願いいたします。

以 上

事実経過

  • 2004年3月5日、井の頭公園の公園管理事務所に野外ステージの使用申請を提出して受理される。
  • 同年3月、管理事務所よりカンナビストの担当者に対し申請を不受理とするという電話連絡がある。後日、不受理の理由を文書により送ってほしいと電話で管理事務所に伝える。
  • 同年3月下旬、管理事務所長より「野外ステージの使用申請について(通知)」(3月18日付け)という文書が郵送で届く。
  • 文面は「平成16年3月5日に使用申請のあった表記施設について、東京都立公園条例第16条第10号、第17条の規定により、使用承認できないので通知します。」(全文)という内容(注※3)。
  • 同年7月7日、管理事務所長宛に「野外ステージ使用申請について」という質問状を郵送で送付する。
    文面は「平成16年3月5日の公園施設の使用申請が、東京都公園条例第16条第10号にある「前各号のほか、都市公園の管理に支障がある行為をすること」という理由により認められないということですが、この条文からは今回の不受理理由は理解できません。事実確認を以て具体的な理由を提示していただきたく、再度回答をお願いいたします。」(全文)という内容。しかし、管理事務所長からの返答はありませんでした。
  • 2005年2月10日、井の頭公園の公園管理事務所にカンナビストの担当者が公園使用の申し込みを行う。受付の窓口では受理されず、理由を尋ねたところ「青少年の教育に良くない」との意見を聞く。その後、管理事務所長を交えて話した結果、当日は担当課長が不在のため、とりあえず公園の仮押さえをし、後日、再度、話し合うということになる。
  • 2005年3月8日、東京都知事をはじめ東京都の関係6者にカンナビストは代理人を通して「申入書」を送付する。
東京都との交渉に際し、緊急募金の呼びかけ

注※1)
日本国憲法「第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」
注※2)
日本国憲法「第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」
注※3)
東京都立公園条例第16条「都市公園内では、次の行為をしてはならない。ただし、第1号から第7号までについては、あらかじめ知事の認可を受けた場合は、この限りではない。
  1. 都市公園の現状を変更しまたは用途外に使用すること。
  2. 植物を採取しまたは損傷すること。
  3. 鳥獣魚貝の類を捕獲しまた殺傷すること。
  4. 広告宣伝をすること。
  5. 指定した場所伊賀の場所へ車馬等を乗り入れまたはとめおくこと。
  6. 立入禁止区域に立ち入ること。
  7. 物品販売、業としての写真撮影その他営業行為をすること。
  8. 都市公園内の土地または物件を損壊すること。
  9. ごみその他の汚物をすてること。
  10. 前各号のほか、都市公園の管理に支障がある行為をすること。」
東京都立公園条例第17条「知事は、都市公園の管理のために必要があると認めるときは、都市公園の使用を制限することができる。」