2004年4月20日に大麻取締法違反の容疑で逮捕された株式会社電通の社員に対して、懲戒解雇という処分がなされたことは人権に対する配慮に欠けたものであり撤回を要求するという下記の手紙を電通の代表者宛に送りました。
抗 議 文
株式会社 電通
代表取締役社長 殿
2004年5月24日
カンナビスト運営委員会
要旨
4月20日に大麻取締法違反の容疑で逮捕された御社社員N氏(原文は実名)に対し、28日付けで懲戒解雇という処分がなされたことは人権に対する配慮に欠けたものであり、人権擁護の立場から抗議するとともに処分の撤回を要望いたします。
理由
欧米の研究機関などによる最新の科学的研究の結果を見ると、大麻はアルコールやタバコほど有害ではないことがもはや疑いのない事実として認められており、世界の主要先進国に於いても大麻の個人使用を容認する動きが進んでいます。大麻を使用することによる心身、及び社会に対する影響と比較して、現在の日本で運用されている大麻取締法で定められている刑罰はあまりにも重く、これは公権力による人権侵害であるともいえます。
日本では毎年、2000人を越える人々が大麻取締法により逮捕され重い刑罰や社会的制裁を受けています。このような状況は、大麻を使用することよりも大麻を取り締まることにより生まれる弊害の方が大きいという矛盾した事態を生じさせています。それに対して日本においても、大麻の少量の所持や栽培について刑罰の軽減化を求める声が出てきています。
マスコミに関わる職務に従事している御社に対して、わたしたちは偏見にとらわれない公正・中立な視点から、そして外圧や心ない非難に左右されずに「大麻問題」を捉えていただけるよう期待していました。しかるに今回の対応は、一社員の不祥事として扱うという安直なもので、当事者である若い社員の将来を含め人権への配慮を欠くうえ、「大麻事件で逮捕=解雇」というマスコミ各社の前例を踏襲することで、大麻事件の被疑者に対して加えられている過度の社会的制裁を助長するものであります。また、法治国家に於いて被疑者に対し裁判の判決の前に処分が下されることは推定無罪の原則に反しており遺憾に思います。
このような処分に対し、強く抗議するとともに処分の見直し、撤回を要望するものであります。
以上
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