大分市保健所健康課への要望書

 この間、サロンでは el ninoさんが大分市に対して医療大麻の有用性を訴えるバンドの出演を申し込みながらも、行政から断れた一件で議論がありました。こういった地方からの具体的な活動は、ひとつひとつは小さなことでもとても大きな意味があると考えます。日本全国でこんな動きが広がっていけば、行政側に対する有効な圧力になるのではないかと思います。
 カンナビスト運営委員会では、el ninoさんを応援し、行政側に大麻問題に対して理解を深めてもらうため以下のような要望書を郵送で送りました。


要望書

大分市保健所 健康課 殿
2002年12月4日
カンナビスト運営委員会


 わたしたちカンナビストは、大麻に関する現行の取り締まり政策を改め、非犯罪化(刑事罰を止める)を実現するよう求めている非営利の市民団体です(現会員数1773名)。
 11月25日に当会の会員「大分、一市民」氏が大分市の主催する「世界エイズデーライブ2002 STOP THE AIDS! -Message from OITA-」へのバンド出演を申し込みました。同氏はマリファナが医療、特にHIVキャリアに有益な効果を持っていることを説明する歌詞の曲を演奏する予定でありました。
 ところが11月28日に大分市から出演を拒否する旨の返答を受け取りました(インターネットのメール返信を下記に転載します/2002/11/28 09:14:49)。
 
 「メールいただき、ありがとうございます。私共のイベントに関心を持っていただき、大変嬉しく思っています。
  HPも拝見いたしました。貴殿が精力的に活動されていることに敬意を表したいと思います。 今回の出演バンドには、大分の若者たちに対する「エイズについて感心(原文ママ)を持とう !」というメッセージを託す意味で、出演をお願いしています。この趣旨をご理 解いただきたいと思います。貴殿がエイズ患者・感染者のためを考えて活動しておられることは私共にとっても大変嬉しいことです。しかし、私共と致しまして は、現状では、医療目的にせよマリファナ使用は認められていないこともありますし、私共地方自治体の立場から、お話しのことについて市民に伝えるのは趣旨 にそぐわないということで、お気持ちは大変嬉しいのですが、お断りさせていた だきたいと思います。     大分市保健所 健康課  」
 
 このような大分市の返答についてわたしたちは、承服しがたく、「大分、一市民」氏の出演を認めるよう再考されるよう要望いたします。
 マリファナ(=大麻。以下、大麻とする)がHIVキャリアに対し、有益な効果をもたらすことは欧米先進国の医学界では認知されています。ところがこのような情報・知識がいまだ日本ではごく一部の人々にしか理解されていません。今回、大分市が世界エイズデーの一環として催しを開催するにあたり、このような情報・知識を音楽を通して発表する機会を認めないということは誠に遺憾なことであります。
 現在、大麻取締法により大麻の所持・栽培等は規制されております。従って「マリファナ使用」を推奨することは違法行為を進めることであり、行政として認められないことは当然のことかと思います。しかしながら「大分、一市民」氏は法律を破ることを歌詞などで主張しているのではなく、大麻にかかわる客観的知識の啓蒙を主張しているのであります。大分市がこのように真摯な姿勢で出演を申し込んでいる市民の声を退けるのは誠に不当な判断ではないでしょうか。
 それは日本国憲法第二十一条で定められている表現の自由、検閲の禁止を大分市が侵害しているといっても過言ではありません。大分市は「大分、一市民」氏の表現の自由を認めず、検閲行為をしていると思わざるを得ません。
 さらに医療大麻の有用性を主張し音楽活動をしている同氏の出演を認めないということは、大分市が憲法第十四条を侵害しているともいえます。「 1 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」(日本国憲法第十四条)と定められているにもかかわらず、同氏は、医療大麻に対する信条を理由に今回の催しへの参加を拒否されるという重大な差別を受けているのであります。
 上記のような理由から、わたしたちは大分市の返答を不服とし、「大分、一市民」氏の出演を認めるよう再考されますよう要望するものであります。

以上