カンナビストは日弁連への 「人権救済申立」と
「国会議員アンケート」を行います


2004年9月17日
カンナビストは日弁連への「人権救済申立」と「国会議員アンケート」を行います
カンナビスト運営委員会

 「人権救済申立」と「国会議員アンケート」、このふたつの活動を通して、国の司法・立法の局面で大麻の非犯罪化に向けて本格的な議論を生みだしていきます。大麻の「自由化」(=非犯罪化)を支持する多くの人々の協力を呼びかけます。今後、ふたつの活動について、随時、日程や進展状況をホームページ、メールマガジン、Cannabis Newsなどで報告していきます。

(1)日弁連への人権救済申立について
  カンナビストは、日弁連に大麻問題に関して人権救済申立を行うことになりました。わたしたちは、日本の大麻取り締まりは、公権力による人権侵害であるととらえ、このような状況を是正しなければならないと訴えてきましたが、今回、日弁連の人権擁護委員会に人権救済申立を行います。
  最初に、日弁連についてごく簡単に説明します。正式名称は日本弁護士連合会、日本全国すべての弁護士が所属する組織で、民間団体ですが司法の世界では影響力を持っています。弁護士法という法律には「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」とされており、そのために「法律制度の改善に努力しなければならない」という条文があります。
  こういった背景を基にして、日弁連の活動の大きな柱として人権擁護の活動が位置づけられています。それを担うのが人権擁護委員会という部門で、その人権救済制度として人権救済申立があります。具体的には、「市民からの人権救済申立を受けて調査等をし、人権を侵害している機関や組織に警告・勧告・要望などを発して、人権侵害の除去と改善に努めている」というものです。
  日弁連は、その性格上、国家機関からの監督を受けない独自の自治権を持っています。行政(厚生労働省や警察など)からの独立性がある団体なので、行政や公務員、公権力による人権侵害にも公正な対応ができるといわれています。以下、(参考-1.2.3)を参照。
  公権力による人権侵害という問題については、これまで社会的に認められてきたのは、国営・公営の事業等における差別や捜査手続や拘禁・収容施設内における虐待などといったことに限定されていた。しかし日弁連などからは、新たに国際人権法、憲法、及び法律に規定される人権の侵害一般を公権力による人権侵害の救済の対象とすべきであるという意見が出されています。この視点は、カンナビストの訴えと合致するものであり、わたしたちは国際人権法、憲法をこの国の市民が自らが獲得するものとして、大麻の非犯罪化をそのモデルケースとして実現したいと考えています。

 ○申立書は、現在、検討中ですが、近日中に公表いたします。
  ○大麻取締法の理不尽さを訴えるとともに、医薬としての大麻や産業利用についての方面も包括して申立を行う予定でいますので広範な人々の支持、具体的には連名による申立人への署名などを募集する予定です。問題の切実さ、深刻さを訴えるためにも、できる限りの申立人を集めたいと思いますので、ご協力をお願いいたします。また、申立後も引き続き、人権救済申立への賛同の署名を募集する予定です。
  ○人権救済申立人について。申立人の個人情報は弁護士法の守秘義務により保護されます。申立人になることで、当局や他人から不利益を被ることはありません。
  ○また日弁連に提出する資料として、大麻取締法により不快な経験(逮捕経験をはじめとして)をした方々の記録(手記)を集める予定です。
  ○人権救済申立は、年間約200件の申立があり、受理されても採用され、調査開始になるのは全体の1〜2割のようです。調査後も調査時間が長期になるケースがあることなど、最終的な結論はかなり先になることが予想されます。このような事情を鑑みて、まずは日弁連に書面で申立を行うことの社会的意義を第一に考えています。大麻問題でこのような申立がなされることの社会的・政治的影響は大きなものがあります。

(2)国会議員アンケートについて
  カンナビストは、人権救済申立と並行して、国会議員(衆参両院)を対象に大麻問題のアンケートを行います。国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関です。大麻取締法に異議があっても、その法律を変えたり、なくしたりする決定をするは国会で行われます。とは言え、客観的に見て、現在の国会で大麻取締法の是非が議題として取り上げられる可能性はほぼゼロといっても過言ではないと思います。このような状況を少しずつでも変えていくためにカンナビストは1年前から政治家(国会議員・地方議員)の方々への陳情を行ってきました。
  目を転じると、多くのNGOや市民運動が国会議員を対象に、人権問題や環境問題、イラク戦争、選挙制度、政治と金などいろいろな社会問題をテーマにしたアンケートを実施しています。どの団体もアンケート調査を通して、議員がその問題について、どのように考えているかを調査し、インターネットや広報誌などで発表することにより、問題の周知と事態の改善へのはずみになるよう位置づけています。カンナビストも基本的には同様の考えを持っています。
  当然ながら、現状では国会議員が大麻について公正な知識を持っている可能性は少ないと思われます。アンケートの回収率や返答に過大な期待は持てないかもしれません。このことは、大麻問題が他の公知の社会問題とは少し性格が異なっている面があることを意味しています。しかし、そうだからこそ、わたしたちはアンケートを通じて、まずは大麻取り締まりの見直しを求めている世論が存在していることを知ってもらうことが重要であり、それだけでも成果があると考えています。ゼロと1の間には飛躍的な進展があります。そして継続的にアンケートを実施し、大麻問題を国政の場で検討する状況を創り出したいと思います。
  また、集約した結果はホームページ上で公表するともに、主要メディアにも送付し、大麻問題への認識を社会的に高めていきたいと考えています。
  大麻の規制の是非について、カウンターカルチャーや出版物、ネットの世界などでは、これまでも語られてきました。その中では、規制の見直しを求める意見がかなり大きな存在になっていますが、問題は、その外にある政治(立法)の世界や世間一般社会とのギャップの大きさです。今回の国会議員アンケートは、政治の世界で、一般マスコミで大麻問題が語られる口火を切るものです。


【参考-1】
「日弁連」とは?
「日本弁護士連合会(日弁連)は、1949年に制定された「弁護士法」にもとづいて設立された、弁護士と全国各地にある弁護士会を会員とする団体です。」
http://www.nichibenren.or.jp/jp/nichibenren/nichibenren/index.html

【参考-2】
「人権擁護活動」とは?
  人権擁護活動は、弁護士の社会的使命を達成するための最も重要な活動の一つです。日弁連は様々な委員会を設置して活動を展開しています。市民からの人権救済申立を受けて調査等をし、人権を侵害している機関や組織に警告・勧告・要望などを発して、人権侵害の除去と改善に努めている人権擁護委員会の他、両性の平等に関する委員会、子どもの権利に関する委員会、高齢者・障害者に関する委員会などがあります。
  また、公害被害者救済と環境保全のための活動や消費者保護のための活動、暴力団などによる民事介入暴力対策活動など、市民生活全般に関わる様々な人権問題にも取り組み大きな成果を上げてきています。
http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/katsudo/jinken.html

【参考-3】
「人権擁護委員会」「人権救済申立」とは?
「日本弁護士連合会は、「弁護士は基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」弁護士法第1条に基づき、国内のあらゆる人権問題みならず国際的な人権問題についての調査・研究活動を行っています。
  ここでは、日弁連人権擁護委員会の人権救済制度について説明します。
  これまで、警察官による様々な人権侵害、拘禁施設における処遇問題、報道機関による名誉毀損、子どもに対するいじめ、虐待、体罰、外国人に関する入・出国管理上の不利益な取扱等々に関して多くの勧告や警告を行ってきています。支援を決定した刑事再審事件については、4件の死刑判決、8件の有罪判決について無罪判決を勝ち取っています。
人権擁護委員会のこれらの活動は、社会的に一定の評価を受け、いろいろな方面に様々な影響力を及ぼしています。
  ただし、申立事件に対しての調査権限、調査方法には一定の限界があり、そして、勧告・警告等の処置についての効力には強制力がありません。」
http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/katsudo/jinken/jinken.html