共同通信社が2005年8月31日に配信したアーサー・ガーファンクル氏(著名なフォーク・デュオ、サイモン & ガーファンクルの一人)の大麻所持に関する誤報記事への抗議をするとともに、訂正記事の発表を求める文書を送付しました。
また、本件については主要各メディアにもプレスリリースを送付しています。
平成17年9月5日
社団法人共同通信社
報道部門担当者様
報道倫理担当者様
東京都世田谷区桜新町2-6-19-101
カンナビスト
御社記事に対する抗議とお願い
前略
本日は、去る8月31日に共同通信社が配信した記事に対する抗議及び報道倫理へのコンプライアンスをお願いしたくご連絡致します。8月31日付けの報道「ガーファンクル容疑者逮捕 またマリファナ所持で」(別紙1)は事実に反します。アーサー・ガーファンクル氏は今回逮捕されたという事実はなく、また昨年1月にも逮捕されたという事実はありません。これは日本新聞協会の新聞倫理網領にも反するものであり誠に遺憾です。
大麻所持の容疑を否定しませんが、出頭命令切符を渡されたのみであり逮捕されたわけではないことは御社が引用している地元紙デイリー・フリーマンの記事(別紙2)からも明らかです。このことからも、『逮捕』と報じた内容は事実に反するとしか言えません。
欧米をはじめとした先進諸国では大麻の個人使用を容認する動きが進んでいます。日本では逮捕されるのが当然と思われているが、海外においては非犯罪化されている場所もあり、実際、大麻は逮捕に値しないものと捉えられています。今回の事件が発生したニューヨーク州においても少量の大麻所持は非犯罪化されており、刑事罰ではなく大抵の場合は反則金で済まされております。我々カンナビストでは、このような先進諸国における取り組みが正しく報じられない限り、日本において大麻に対する誤解と偏見が払拭されないと考えております。
御社の報道はあえて『逮捕』と表記し配信したことで、逮捕が当然の処置という従来の認識をいたずらに追認するとともに、非犯罪化という選択肢の存在を日本社会が知る機会を奪うものであり、マスメディアとしての倫理原則に反します。翻訳、表現方法の誤りによる単純な過失、或いは作為的な捏造であったとしても、事実に反する以上我々はこれを容認する事はできません。
先般、報道各社の報道倫理が問われる中、このような記事が掲載された事は誠に残念でならず、御社の報道姿勢に対しても影を落とすものと感じております。
この件に関しては、御社における事実関係の調査及び当該記事に対する訂正記事の発表を強く要求します。なお、当該記事の捏造問題に関してはカンナビストの会員、アーサー・ガーファンクル氏、アーサー・ガーファンクル氏の広報担当者トッド・プロジンスキー氏、デイリー・フリーマン紙のポール・カービー記者、並びに日本国内の大手新聞社、報道各社にも通知致しております。
カンナビストとは:
現在の日本における大麻の取り締まりを過度の人権侵害と位置付け、大麻の個人使用の容認化と刑罰の軽減を訴える市民団体です。1999年7月に設立され、2005年9月5日現在、会員数3,720人となっている。
敬具
別紙1
ガーファンクル容疑者逮捕 またマリフアナ所持で
【ニューヨーク30日共同】米ニューヨーク州キングストンの地方紙デーリー・フリーマンは30日、同州警察当局が米人気デュオ「サイモン&ガーファンクル」のメンバー、アート・ガーファンクル容疑者(63)をマリフアナ不法所持の疑いで逮捕したと報じた。
ガーファンクル容疑者は昨年1月にも、上着のポケットに少量のマリフアナを所持していたのが見つかり、逮捕されている。
同紙によると、ガーファンクル容疑者は今月28日、運転中に一時停止の標識に従わなかったため車を止められた。車内にマリフアナのにおいが立ち込めていたことから調べたところ、灰皿からマリフアナたばこが見つかった。
同紙はサイモン&ガーファンクルの往年のヒット曲「明日に架ける橋」の歌詞の一節を引用し、同容疑者は「人生の荒波(トラブルド・ウオーター)にまたしても直面」したと伝えた。
(共同通信) - 8月31日1時2分更新
別紙2
Garfunkel had pot while driving in Woodstock, police say
By Paul Kirby, Freeman staff
08/30/2005
WOODSTOCK - Singer Art Garfunkel, who pleaded guilty last year to drug possession in Ulster County, faces troubled waters again after a state trooper charged him Sunday with having a marijuana cigarette in the ashtray of the car he was driving.
According to a report at the state police barracks in Ulster, Garfunkel was charged with unlawful possession of marijuana after Trooper Heath McCrindle stopped the 2005, four-door Buick the singer was driving. Police said Garfunkel, 63, the other half of the singing duo Simon and Garfunkel, failed to stop his vehicle at a stop sign at state Routes 375 and 212 shortly after 3 p.m. Sunday.
The trooper, according to the report approached the car and "detected a strong odor of marijuana emanating from the vehicle."
"The driver and only occupant of the vehicle identified himself with New York driver's license as Arthur Garfunkel," the trooper's report said. "Subsequent search of the vehicle revealed one marijuana cigarette located in the ashtray."
Police said that Garfunkel, who lives at 9 E. 79th St., Manhattan, was not charged with driving while ability impaired because he may not have been smoking the marijuana. He was issued an appearance ticket and is due back in Woodstock Town Court at 6 p.m. Sept. 22., the report said.
Garfunkel was previously charged with unlawful possession of marijuana on Jan. 17, 2004, after state police from the same barracks stopped a limousine in which he was riding for speeding on state Route 28 in Hurley.
Police found a small amount of marijuana in Garfunkel's jacket pocket and he was charged with possession of marijuana, a violation equal to a traffic ticket. On Feb. 4, 2004, Garfunkel pleaded guilty to marijuana possession through his attorney, Michael Federoff of Kingston, and paid a $100 fine and a $100 state surcharge.
Born in November 1941 in Queens, Garfunkel met Paul Simon in grade school and they formed a musical partnership at a young age, initially performing under the name "Tom and Jerry." They released their first Simon and Garfunkel album, "Wednesday Morning, 3 a.m.," in 1964 and went on to record such hit songs as "The Sound of Silence," "The Boxer" and "Bridge Over Troubled Water."
Garfunkel also has recorded several solo albums over the past 30 years, but nowhere near the commercial or critical success of Simon's solo work. Garfunkel's notable songs as a soloist have included "All I Know" and "I Only Have Eyes for You."
In the fall of 2001, Garfunkel gave a concert at the Ulster Performing Arts Center in Kingston.
平成17年9月6日
プレスリリース
共同通信社の誤報記事に対する抗議について
東京都世田谷区桜新町2-6-19-101
市民団体カンナビスト
TEL/FAX 03-3706-6885
メール Info@cannabist.org
カンナビストは本日、共同通信社に対して誤報記事への抗議をするとともに、訂正記事の発表を求める文書を送付しましたことをお知らせいたします。
今回の経緯は以下の通りです:
- 去る8月31日に共同通信社は「ガーファンクル容疑者逮捕 またマリファナ所持で」との見出しで記事(別紙1参照)を配信しました。
- 当該記事は今年8月28日に、そして昨年1月にも、往年の人気フォークデュオ「サイモン・アンド・ガーファンクル」のアーサー・ガーファンクル氏が大麻所持で逮捕されたと報じています。
- 共同通信社は、アーサー・ガーファンクル氏が逮捕された地域の地方紙「デイリー・フリーマン(Daily Freeman)」紙が8月30日に掲載した記事「Garfunkel had pot while driving in Woodstock, police say」(別紙2参照)を引用しています。
- しかし、デイリー・フリーマン紙の記事を始めとした米国のメディアは逮捕と報じておらず、裁判所出頭命令、又は裁判所出頭切符を交付されたと報じています。
- 共同通信社の記事は用語を巡る表記の誤り又は作為的な捏造であったかに関係なく、事実に反する報道であるという点において大きな問題性があります。カンナビストではこの記事に対する抗議とともに、事実関係の社内調査及び訂正記事の発表を強く要求しています。
カンナビストでは今回の誤報記事が先般の報道倫理問題に関連する報道問題である以外にも、諸外国における大麻の取り締まりの現状を間違って報道していることに重大な問題があると考えます。ガーファンクル氏は大麻を所持していたものの、ニューヨーク州においては逮捕ではなく、違反切符と軽微な罰金(昨年1月時点で200米ドル)のみの罰則が適用されていることが日本社会において正しく伝達されていないことにこそ問題があると考えます。
今回の件に関して共同通信社の対応を注意深く見守り、今後の対応を検討する所存です。
カンナビストについて:
現在の日本における大麻の取り締まりを過度の人権侵害と位置付け、大麻の個人使用の容認化と刑罰の軽減を訴える市民団体です。1999年7月に設立され、2005年9月5日現在、会員数3,720人となっています。
ホームページ http://www.cannabist.org/
※プレスリリースの別紙1と別紙2は共同通信社への抗議文のものと同じです。 |