大阪高裁判決文について最高裁への意見書

 大麻事件の裁判(桂川直文さん裁判)支援の一環として、カンナビストが最高裁に提出した大阪高裁判決文についての意見書。

 「幻覚・幻聴・錯乱等の急性中毒症状」を含め大麻の有害性を実証するようなデータはどこにもないこと、翻訳文献に依拠した大麻の有害性立証と現実の臨床的データとの乖離、立法裁量として刑事罰の選択は不当であることなどを指摘している。

 


桂川直文さん裁判、大阪高裁判決文についての意見書

2005年5月30日
カンナビスト運営委員会

(1)桂川さん裁判、高裁判決文についての異議申し立て
 わたしたちは、大麻の非犯罪化を求めて活動している市民運動団体カンナビストと申します。わたしたちは、全国に3438人(2005年5月現在)の会員がおりますが、会員の中には、かって自分自身が大麻取締法で逮捕されたことがある。あるいは自分の配偶者や兄弟、友人・知人が逮捕されたことがあるという人がいます。それらの人たちの大部分は、大麻取締法で起訴され有罪の判決を受けた後も、大麻が有害なもの、悪いものであるとは思えないのに逮捕され刑罰を受けたことにジレンマを感じています。法律に違反したことは認めていますが、大麻取締法の方に誤りがあるのではないかと感じているのです。たとえ裁判でそのような主張をしても、納得のいく説明を聞くことができないまま、判決を受け入れるしかありませんでした。
 現在、各地の大麻事件の裁判で、被告弁護側から大麻取締法は憲法違反ではないかという訴えがなされていますが、それらの被告たちも同じような思いを懐いています。わたしたちの会には、そういった人たちからの手紙や電話が多数寄せられています。直接、自分の思いを伝えたいと会いに訪れる人もいます。
 大麻取締法は、大麻には著しい有害性はないにもかかわらず所持・栽培について過剰に厳しい刑罰を定めている法律であるとわたしたちは捉えております。このように大麻を厳しく取り締まらなければならない理由はどこにもありません。
 そのことはイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、オランダなどEU(欧州連合)の主要国やカナダ、オーストラリアといった世界の中では、民主主義や人権への配慮が進んでいる国々で大麻の非犯罪化が進んでいることからも明らかです。物事の自然の道理として、同じ大麻を(個人使用量相当、非営利目的で)持っていて前記のような国々では非刑罰扱いになっていながら、日本では通常数週間は勾留され、長年、勤めていた会社を解雇されたり、学籍を失うほどの大きな人生の傷を受けなければならないというのは不条理なことです。
 いまから20年前の1985年に最高裁により大麻取締法が合憲であるとの決定がなされていますが、それは大麻の有害性を前提にしたものでした。それ以降、その決定を踏襲して大麻事件裁判では、被告弁護人による大麻取締法が憲法違反であるという訴えは退けられてきました。このような司法の姿勢は、残念ながら桂川さん裁判の地裁、高裁判決でも変わっていません。
 現在、わが国に於いて、このような意見を社会的に主張している人の数は必ずしも多くはないと思います。しかしながら人権として、人道的な目から、物事の道理として、おかしいものはおかしいのではないかと訴えるものです。最高裁の判事の方々に、ぜひこのような声に耳を傾けていただけるようわたしたちは願っております。

(2)大麻には「幻覚・幻聴・錯乱等の急性中毒症状」はありません
 「大麻の有害性は、かねてより所論が指摘する最高裁判所の決定を含む多くの裁判例において肯定されており、多くの裁判所においては公知の事実として扱われるに至っているものであるけれども、所論が大麻の作用に関する医学的研究の進展等を指摘するので、あらためて検討してみても、関係証拠によれば、近時の医学的文献において、大麻には、幻覚・幻聴・錯乱等の急性中毒症状や判断力・認識能力の低下等をもたらす精神薬理作用があり、初心者などに対して急性の精神症状をもたらすことがあるなどとされており、大麻が人の心身に有害であるとはいえても、有害性が極めて低いとはいえないことが認められる。」(高裁判決文)
 引用しました高裁判決文によれば、大麻の有害性は医学的文献に示されている「幻覚・幻聴・錯乱等の急性中毒症状」「判断力・認識能力の低下等をもたらす精神薬理作用」「初心者などに対して急性の精神症状をもたらすこと」という三点があげられています。
 そのうち「判断力・認識能力の低下等をもたらす精神薬理作用」「初心者などに対して急性の精神症状をもたらすこと」といった指摘は、人間の精神状態に関する一般的・抽象的な表現にとどまっていて実害としてどのようなことがあるのか、あるいは起きているのか、それが刑事罰で取り締まらなければならないような有害性の高い作用や症状なのか等について不明確であり、どうして「有害性が極めて低いとはいえない」という結論になるのか納得できません。
 最初に指摘されている「幻覚・幻聴・錯乱等の急性中毒症状」についてですが、大麻にはそのような作用はありません。「幻覚」という言葉が一般的にどのように用いられているか調べますと「〔心〕対象のない知覚。例えば、実際に物がないのにその物が見え、音がないのにそれが聞こえるというような現象」(『広辞苑』)。「幻聴」は「外界からの刺激がないのに、何か音が聞こえるように感ずること」(同)。「錯乱」は「(思考・感情などが)入り混じって混乱すること。」(同)とあります。
 そういった言葉を並べた「幻覚・幻聴・錯乱」という言い回しから受ける印象は、正常な判断ができなくなって自他に危害を及ぼすような行動をしでかしてしまうように感じられます。もしそれが事実であるならば、確かに有害であるという意見ももっともだと思います。
 わたしたちは、本裁判を初めとして各地の大麻事件裁判を傍聴してきましたが、法廷で被告が大麻の摂取により「幻覚」や「幻聴」を体験したような発言をするのを耳にしたこともありました。しかし、それは日本語表現の曖昧さに起因するもので、被告はせいぜいイメージが豊かになった、音感が豊かになった、インスピレーションがわいたといった程度のことをレトリックとして「幻覚」や「幻聴」と表現しているのであって、正常な判断ができなくなって自他に危害を及ぼすような行動をしでかすようなものではありません。本来、見えないものが見えたり、聞こえないものが聞こえたりするようなことはありません。
 社会に復帰した元被告の人たちに話しを聞くと、言葉遣いの正確さについて無自覚なため大麻で「幻覚」を体験したかのような発言を法廷でしてしまった。辞書の説明にあるような「実際に物がないのにその物が見え、音がないのにそれが聞こえる」といったことはなかったと述べています。そういった被告に問題があるとしたら、法廷の場で、芸術家や詩人のような表現をすることが自己に不利益になるとともに、大麻に対する誤解を生むことに無自覚であるということだと思います。
 高裁判決文で「また、この点(大麻の有害性の認定のこと──引用者注)に関する被告人の供述も、大麻の精神薬理作用が覚せい剤等よりも軽いものであるとしつつも、大麻が相応の精神薬理作用を有するものであること自体は認めるものであって、上記大麻の有害性の認定を左右するものではない」(高裁判決文 1所論@について)という指摘も、桂川被告の真意が法廷で十分に伝わらなかったために生じた誤解であると思われます。
 事実、大麻の摂取が原因で、二次犯罪を起こしたケースはこれまで1件も起きていません。また大麻の摂取が原因で病院など各施設を受診した人はほとんどいないと言っても過言ではありません。これについては、後にふれます。

(3)大麻の有害性を実証するようなデータはどこにもありません
 大阪高等検察庁は大麻の有害性に関する資料「捜査報告書」(平成16年9月28日)を高裁裁判の過程で提出していますが、その資料には客観的な信憑性がないと言わざるを得ないことは、弁護側からの高裁に提出された反論で明らかになっています。
 特に、「捜査報告書」の巻頭に収められている「厚生労働省外郭団体財団法人『麻薬・覚せい剤濫用防止センター』ホームページ抜粋」の情報について、弁護人から検察に対し、実際に大麻の害悪の具体的証明があるのか、出典などが明らかにするよう求めたところ、11月24日の公判に於ける検察側の答弁は同センターに問い合わせたが回答をもらえなかったので、釈明しないというものでした。このことからも「麻薬・覚せい剤濫用防止センター」の公表している大麻の「有害性」が、根拠のない情報だということが明らかになっています。
 また2004年3月、厚生労働省に対し情報公開法に基づき、大麻の有害性について情報開示請求を行いましたが、その回答(注1)によれば、日本国内で大麻が原因の各種の病気・健康障害は起きていないこと、大麻が原因による二次犯罪は起きていないことが明らかになっています。この厚生労働省の返答は弁護側から法廷に提出されています。

 大麻の有害性を実証するような臨床的なデータはどこにもありません。逆に、国内の公的機関による大麻の使用に関する調査からは「幻覚・幻聴・錯乱等の急性中毒症状」にあたるケースは起きていないことが明らかになっています。
 国立精神・神経センター精神保安研究所薬物依存研究部による「違法薬物の生涯経験者数」の調査によれば、わが国の大麻の「生涯経験者数」(推定値)は2001年の時点で、2001年=114万人±31万人とされています(「臨床精神薬理」Vol.6 No.9 2003)。
 大麻の「生涯経験者数」(全国住民調査に基づく推計値。1回でも経験のある人の数、いわば体験者数で、常用している人の数を示しているわけではない)は、1995年=56万人±21万人、1997年=63万人±23万人、1999年=104万人±29万人、2001年=114万人±31万人という数字になっています。1995年から2001年までの6年間で体験者数が2.2倍に増えています。すでに日本には100万人を超える大麻の体験者がいると推計されます。
 一方、厚生労働省の委託を受けた依存性薬物情報研究班の発表した資料(「大麻乱用事例の特徴」依存性薬物情報研究班)では、全国各地の病院(調査に協力している医療施設約130〜140)で把握した大麻の摂取により診断を受けた人の数が示されています。それによれば、1995年は4例(薬物によるケース全体のうち0.7%)、1997年9例(同1.1%)、1999年8件(同0.8%)、2000年7例(同0.5%)となっています。
 この報告書でも「従来から大麻乱用事例については気になりながらも。毎回の報告では例数が余りに少な過ぎるため、その特徴が掴めないままに経過しておりました。」と認めているように、大麻によって病院の世話になるようなケースは、極端に少ないのです。結局、それほど危険ではないということが実証されているといっても過言ではありません。
 1987年から2000年までの13年間で、大麻による事例は109例、シンナーや覚せい剤などを含めた全体の事例が10033例で、大麻は全体の中で僅か1.1%にすぎません(報告の内容を細かく見ていくと、本当に大麻だけが原因か疑わしい症例もあり、実際はこれよりもさらに少ない可能性があります)。
 以上、「違法薬物の生涯経験者数」(国立精神・神経センター精神保安研究所薬物依存研究部)と「大麻乱用事例の特徴」(依存性薬物情報研究班)を比較してみますと、
 一、大麻の「生涯経験者数」は95年から2001年で2.2倍に倍増していると推計される(「違法薬物の生涯経験者数」より)のですが、大麻関連で病院など各施設を受診した人は横這い、むしろ減少しています(「大麻乱用事例の特徴」より)。もし大麻に危険性・有害性、例えば「幻覚・幻聴・錯乱等の急性中毒症状」などが本当にあるのだとしたらこのような数字にはなりえないと思われます。
 二、大麻の「生涯経験者数」(2001年)は114万人±31万人で、有機溶剤(シンナーなど)の210万±41万人よりは少ないですが、覚せい剤の33万人±17万人、コカイン15万人±11万人、LSD12万人±10万人などより遙かに多いと推計されています(「違法薬物の生涯経験者数」より)。しかし規制薬物関連で病院など各施設を受診した人の全報告事例数(2000年)の中では、大麻によるものは全体の僅か0.5%(7件)にすぎません(「大麻乱用事例の特徴」)。ここからも大麻の危険性・有害性は低いことが明らかになっています。

(4)翻訳文献に依拠した大麻の有害性立証と現実の臨床的データとの乖離
 高裁判決文では「近時の医学的文献において、大麻には、幻覚・幻聴・錯乱等の急性中毒症状や判断力・認識能力の低下等をもたらす精神薬理作用があり、初心者などに対して急性の精神症状をもたらすことがあるなどとされており」とされています。
 しかしながら、先ほどで述べてきましたように、2004年3月の情報開示請求により、国内では大麻が原因の各種の病気・健康障害は起きていないこと、大麻が原因による二次犯罪は起きていないことが明らかになっています。
 また、公的な調査である「違法薬物の生涯経験者数」(国立精神・神経センター精神保安研究所薬物依存研究部---注2)、「大麻乱用事例の特徴」(依存性薬物情報研究班---注3)などにより、大麻により病院など各施設を受診した人は極めて少数であることが明らかになっています。
 このようなことから、法廷に提出された医学的文献に大麻を危険視した記述があるとしても、その記述自体、わが国の現実とは乖離したものだと言わざるを得ません。
 わが国では、大麻の薬理作用については1970〜80年代にラットを用いた動物実験が行われた以外は、海外の医学的文献の翻訳がほぼ唯一の情報源でありました。一方、厚生労働省は、大麻が人体に与える影響に関して1990年代以降の海外の主立った研究報告書や非犯罪化の事例について、連絡・報告・検討など事実上していないということが昨年3月に行った情報公開請求の返答から明らかになっています。
 再三、引用していますが「近時の医学的文献において、大麻には、幻覚・幻聴・錯乱等の急性中毒症状や判断力・認識能力の低下等をもたらす精神薬理作用があり、初心者などに対して急性の精神症状をもたらすことがあるなどとされており」という高裁判決文の認識は、欧米先進国の医学的文献に関して十分な翻訳が行われていないわが国の不十分な知見を基にしたものだと言わざるをえません。
 この日本の現実のなかで大麻を使用・摂取したことによる心身の弊害は起きていないにもかかわらず、一部の海外の文献の翻訳に依拠して「大麻が人の心身に有害であるとはいえても、有害性が極めて低いとはいえない」(高裁判決文)と結論を下すのは納得できません。

(5)海外の権威ある文献では、大麻で「幻覚・幻聴・錯乱」は起きないとされています
 実際、下記に示す海外の権威ある文献では、大麻の作用として「幻覚・幻聴・錯乱」が存在するという認識はありません。
 「メルクマニュアル」(注4)や「WHO報告書」(注5)では大麻の作用として、これらに関する記述は存在しません。「IOMレポート」(注6)は、幻覚について示唆する研究報告についてふれている記述もありますが、紹介レベルの扱いであり、確認されている顕著な問題という扱いとはなっていません。
 一方、大麻に限らず、他の薬物(合法・非合法を含む)についても包括的に論じている「メルクマニュアル」では、アルコールの離脱症候群として、幻覚・幻聴・錯乱の存在をはっきりと明示しています。

 「第15節 精神疾患 薬物使用と依存 アルコール症 離脱症候群
 ……アルコール幻覚症は長期にわたる過度のアルコール使用を急に中止した後に生じる。症状には聴覚性錯覚や非難的で脅迫的な幻聴が含まれることが多い;患者は通常懸念を抱き,幻覚や鮮明な恐ろしい夢によって脅かされることがある。この症候群は精神分裂病と似ているが,思考は通常障害されず,病歴は精神分裂病に特有のものではない。症状は離脱に伴う振戦せん妄と同様の急性器質性脳症候群のせん妄状態または他の病理学的反応とは似ていない。意識は清明であり,振戦せん妄においてみられる自律神経不安定の徴候は通常みられない。幻覚が生じる場合,それは概ね振戦せん妄に進行する。幻覚は通常一過性である。回復には通常1〜3週間要する。患者が飲酒を再び始めると再発しやすい。
 振戦せん妄は通常アルコール離脱後48〜72時間以内に始まり,不安発作,錯乱増大,睡眠不足(悪夢または夜間錯覚を伴う),著明発汗,そして著しい抑うつを伴う。情動不安,恐怖,そして戦慄さえも喚起する一過性の幻覚がよくみられる。初期のせん妄状態,錯乱状態,そして失見当識状態に特有なのは,日常活動をまねることである:つまり患者はしばしば復職したと想像し,仕事に関する行動をとろうとする。発汗および脈拍や体温の上昇によって示される自律神経不安定はせん妄を伴い,それとともに進行する。軽症せん妄は通常著明な発汗,100〜120/分の脈拍,そして37.2〜37.8℃の体温上昇を伴う。著明な失見当識と認知障害のみられる重症せん妄は重大な情動不安, 120/分以上の脈拍,そして37.8℃を超える体温上昇を引き起こす。」

(6)立法裁量として刑事罰の選択は不当です
 大阪高裁は、「大麻が精神薬理作用を有する薬物であって、その有害性も否定できないことから、これを国民の保健衛生上の危険防止という公共の利益の見地から規制することは十分に合理的であるから、どの範囲で規制を加え、どのような罰則を定めるかは、原則として国民の代表者によって構成される国会の立法裁量に委ねられていると解される」(高裁判決文)とされています。
 しかし、薬物に限らず、合法的な医薬品・化粧品・食品・嗜好品などを含むいかなる物質であっても使い方や使用量を誤れば人体に有害に作用するものであり、有害性を完全に否定することは不可能です。
 しかも、上述しましたように、大麻の場合、国内での健康障害や二次犯罪の事例は存在せず、あくまで可能性の上での議論でしかありません。さらに、欧米の先進国のほとんどで大麻が非犯罪化されていますが、それによって弊害も特に生じていないことも考慮すべきです。
 こうした事実から考えると、大麻について、国会の立法裁量に委ねられているとされる規制の範囲に、国民の自由を著しく制限し、その後の人生においても非常に大きな影響を及ぼす刑事罰という選択肢が含まれるという判断は到底納得のいくものではありません。刑事罰という選択が取られるのは、そのような厳しい刑罰をもってしなければ国民の保健衛生上に危険をおよぼすほどの有害性が大麻にあることが証明される場合に限られるべきだと思われます。
 大麻取締法は、大麻の非営利目的での個人使用量相当の所持・栽培について過剰に重い罰則規定を定めており、国会の立法がその裁量を逸脱していると言わざるを得ません。

 わたしたちは、20年前、当時の最高裁が大麻取締法を合憲とした決定を見直してもらいたいと願っています。大麻取締法違反で毎年、2000人を超える人が逮捕されています。このような状況を一刻も早く改めるよう司法の公正な判断を期待しております。

以上

【注】
(注1)厚生労働省発薬食第0408034〜43, 45〜52号、第0408033号。

(注2)「違法薬物の生涯経験者数」(国立精神・神経センター精神保安研究所薬物依存研究部)、臨床精神薬理 Vol.6 No.9 Sep, 2003、星和書店

(注3)「大麻乱用事例の特徴」、依存性薬物情報研究班 News Letter No.2(2002年4月12日発行)

(注4)『メルクマニュアル 第17版 日本語版』、米国メルク社発行、1999年発行。初版が1899年に発行されて以来、14カ国語に翻訳され、医師のバイブルとして世界で最も広く利用されている医療手引書。300名を超す世界各国の著名な専門家が執筆を担当し、世界中に存在するほとんどすべての主要な病気に関する診断と治療に必要な情報がまとめられている。
Web版 http://merckmanual.banyu.co.jp/

(注5)『Marijuana and Medicine - Assessing the Science Base』、Janet E. Joy, Stanley J. Watson, Jr., and John A. Benson, Jr.編集、Division of Neuroscience and Behavioral Health, Institute of Medicine, National Academy Press、1999年。米国科学アカデミーの付属機関である医学研究所(IOM)が米国政府からの依頼を受けて2年間におよぶ科学的文献の調査・分析、生物医学者や社会科学者との意見交換などを行い、大麻の医薬品としての効能と健康に対する影響についてまとめた研究レポート。もっとも包括的で徹底的な論評と評されている。

(注6)『Cannabis: a health perspective and research agenda』、Division of Mental Health and Prevention of Substance Abuse, World Health Organization、1997年。世界保健機関(WHO)が発行した大麻と健康問題に関する1997年の報告書。