犯罪観の研究
−現代社会の犯罪化・非犯罪化−
【要約版】


犯罪観の研究−現代社会の犯罪化・非犯罪化−【要約版】

岩井弘融・所一彦・星野周弘編集、1979年大成出版社発行

第一章 犯罪化と非犯罪化−特に非犯罪化論をめぐって (執筆:西村春夫 、科学警察研究所)
一 非犯罪化の起源

「法律によってすべてを規制しようと努める者は、諸悪を改善するよりも諸悪を引きおこ
す傾向がある」スピノザ(1632−1677)オランダの哲学者
滝川幸辰博士 昭和のはじめ、著書・刑法講義で姦通罪の廃止を主張

二 非犯罪化論の戦後の動向とその概念化

1957年 ウェルフェンデン委員会(英国1954発足)報告書
    「刑法の機能を、国民に一定の倫理的行動を強制するまでに拡大してはならない」
    合意された成人間の同性愛を刑法上の罰としないことを提案
1965年 「被害者なき犯罪」シャー著 非犯罪化に賛意を示す

1967年 「少年保護のための新しい地平」ハイネン著 少年には刑罰ではなく保護処分を優先すべき
1973年 「非刑罰化について」森下忠(ジュリスト1973.8.15,541号)定義
    非犯罪化=刑法上犯罪とされている行為を刑法から除いて刑法の規制の対象外とすること
    非刑罰化=犯罪に対し刑罰をやめて代りに非刑罰的処分(保護・治療)をもってすること
         非刑罰化は犯罪であることを前提
1979年 本稿筆者(西村春夫・科学警察研究所)定義
    非刑罰化=犯罪を必ずしも前提とせず、行為に対して、一定の法手続きをへて、非刑罰的
         処分を科すこと。法的制裁としての刑罰をやめて、非刑罰的処分を代置すること
         わが国の現行法で固有の刑法典に規定されている法的制裁は、
         死刑・懲役・禁錮・罰金・拘留・科料・没収(附加刑として)のみ
         以上の刑罰以外の処分は規定なし
         ゆえに成人に対して刑法典上犯罪としておいて、非刑罰化するのは不可能
    不介入または自由化=何らの非刑罰的処置も代置せず、何らの法的措置もとらないこと
              個人の社会道徳や倫理で行動を統制することが期待される場合や
              放任、奨励をも含む
    非犯罪化=あくまで立法上の問題として、刑法の条文から削除すること
         非刑法化、非法律化

●いわゆる非犯罪化の実施類型
刑法  刑罰  非刑罰的処分   結果の類型    事例
なし  なし    なし     非犯罪化+自由化…姦通罪の廃止
あり  あり    なし     犯罪化+刑罰化…現行のまま
なし  なし    あり     非犯罪化+非刑罰化…14歳以下の触法少年、行政罰
あり  なし    あり     犯罪化+非刑罰化…犯罪少年の保護処分、交通反則金制度
あり  社会的制裁・社会防衛処分 非犯罪化+非刑罰化…スウェーデン刑法、グリーンランド犯罪法                            ソヴィエト刑法
日本では応報刑としての刑罰のなかに犯罪防止目的が潜入しており、保安処分的要素が入っている
青柳文雄「刑罰とわが国民性」(刑政1969,80巻10号)

●非刑罰化における処分類型

完全に刑を代替(少年法上の犯罪少年への保護処分)
先に執行猶予が科せられ、次に補導処分を充当(売春防止法上の補導処分)

犯罪=刑法典、特別刑法(暴力行為等処罰に関する法律、軽犯罪法、売春防止法など)
   行政刑法(麻薬取締法、道路交通法、公職選挙法など)に規定されていて刑罰の
   対象となっている行為

行政刑法=行政目的の実現のため、その義務違反に対して、刑罰か行政罰をもって臨む法令
     刑罰をもって臨んでいる行為=犯罪
     過料、反則金、免許停止などの行政罰の対象となっている義務違反の行為=非犯罪

刑罰=行為に対して責任を問うために科せられる国家的な法的制裁
   刑事手続によって実現される

●非刑法化の対象となる行為の範囲

狭義…刑法典規定(とばく、堕胎、公然わいせつ、わいせつ文書頒布など)
広義…刑法典その他の刑罰法令を廃止、法条の一部を改廃すること

●非犯罪化を達成する方法

立法作業によって法律から当該行為を削除、または法律全体を廃止する
ある国では裁判官の法令解釈によって、当該行為を犯罪枠からはずす方法もあり得る
人びとの法意識も、非犯罪化の重要な条件
法意識の程度に強弱や段階があるから、非犯罪化は段階的に考えられてくるのが自然

●転換措置(diversion program)=逮捕→起訴→判決→刑務所収容という犯罪者処理の主流からはずし                て社会復帰させ、犯罪者に対する烙印を回避しようという諸措置
               当該行為に対して刑罰制度があることを前提として、実刑以外の
               制裁や処遇を実現すること       
               刑事罰の衰退あるいは緩和化
               具体的には執行猶予、罰金、仮釈放の実施
          
●非犯罪化の反対概念

非犯罪化⇔過剰犯罪化(犯罪創成的機能あり)、刑法による過保護
非犯罪化は、過剰犯罪化を正そうという姿勢の表明
過剰犯罪化→犯罪化→非犯罪化
自然犯…殺人、強盗など←犯罪でなくすることを考える者は、まずいない
法定犯…時々の当局によって、いろいろの条件、理由によって改廃が行われる違法類型
    行政上の目的の実現(交通反則金など)
    道徳・倫理を強制的に施行(過去の姦通罪、現代のとばく、ポルノなど)←非犯罪化検討対象
非犯罪化も非刑罰化も、刑罰であれ、各種の処分であれ、なるべく、犯罪に対する国家の介入を
少なくしようという発想から生まれた考え方
非犯罪化は、本来は自由化でなくてはならない

●非犯罪化の三つの相
「非犯罪化をめぐる海外の動向」森下忠(ジュリスト1975.9.1,595号)

1.事実上の非犯罪化=部分的非犯罪化
 刑法上は犯罪であっても、事実上の不処罰となっている場合
 法律の運用で手加減が加えられている(堕胎罪、とばく罪、軽犯罪法に触れる行為など)
 要因…当局の政策的配慮、国民の法意識の状態、取り締まりの難易度など

2.司法上の非犯罪化
 裁判官が法令解釈上不処罰とする場合
 判令法主義をとっている国では行われる可能性あり
 わが国ではほとんど該当せず

3.法律上の非犯罪化=非法律化
 立法政策上、法律の条項から当該行為を削除すること
 
●不介入政策という考え方について

非犯罪化と非刑罰化に共通する思想=国家権力の謙抑性の主張
人に対する干渉をなるべく少なくし、社会の自由な雰囲気をかもしだすためには、
法の発動を謙虚に行うほか、人びとの間に社会的逸脱に対する寛容という態度をつくることも大切
寛容であれば、地域におけるちょっとした悪行は、大地に水が吸収されるがごとく、吸収されて、
問題とされず消失する
広義の非犯罪化=不介入政策そのもの
狭義の非犯罪化=非刑法化、非法律化

筆者の不介入政策は次のものを含む
1)非刑法化あるいは非法律化(狭義の非犯罪化)
2)非刑罰化(非刑罰的処分の代替)
3)軽罰化(法律上、罰則を軽く規定しなおす)
4)法執行の緩和、ある特定の形の行為のみ部分的禁止
(刑事罰の衰退、転換措置、情状酌量による緩和、裁判官の司法上の判断による公訴棄却や刑の緩和、  裁量による緩和、部分的処罰、取締活動の緩和)
5)人びとの寛容度のレベルアップ、非犯罪化に関連する諸行為に対する意識や行動の変革
(警察への届出行為、人びとの許容意識、許容的行動など保安要員や一般人による
 犯罪非行の定義の緩和化)

三 非犯罪化をめぐる時代思潮

1.自由社会、許容社会という考え方 

 自由…人間の尊厳が破壊されない限り、国家の刑事司法的介入は最小限であるべきだということ
 許容…社会的逸脱が批難されることなく、最大限に許されること

2.宗教的倫理の退潮  

 刑法と宗教は別
 刑法から宗教色を一掃し、宗教で禁じられている行為だからといって、必ずしも刑法上の犯罪と
 するに及ばないという主張を生む(欧米での、同性愛、とばくを非犯罪化する動き)

3.人は他人と異なるという権利をもつという主張
 
人と“異なる”権利を主張できる社会では、社会的逸脱だからといって、直ちに蔑視されたり、
犯罪とせられることは少ない
犯罪の範囲は狭められる

4.逸脱の政治化

 現行法上犯罪とされている行為の解禁を求めて社会運動を組織したり、起訴されれば、法廷闘争に
 うったえて主張を展開
 運動は単に法律上の非犯罪化を目標とするに止まらず、管理され、抑圧されることからのみずからの  主体性を回復しようとしている現代人の欲求に強く働きかける性格をもつ
 
四 非犯罪化の目標

1.国家ーとくに官僚制の発達した国家ーによる刑罰権を縮小すること

2.刑事制裁の合理化

 従来のような刑罰的、鎮圧的やり方では犯罪防止の実効があがらなかった
 犯罪を防止するには犯罪を誘発し、増大させる原因や条件の除去が大切
 既成観念のなかに「犯罪をすれば刑罰が待っており、その刑罰が犯罪を防止させるのだ」
 という信念があり、刑罰がなくなれば犯罪は増えると考え、心配する者が多いことも事実
 
 刑罰に犯罪防止の役割を過重に付し、刑務所を教育施設の一種と幻想して、教育刑とか改善処遇の
 ための刑罰とかを提唱してきたことに疑問


 「犯罪学上の神話と現実」(International Annals of Criminology1977,15巻1号)
 ●考えられる代案
 1)刑罰に代わる他の防止策を推進する
  (インフォーマルな社会統制、各種処分、法にもとづく指導、社会福祉政策、社会防衛論の流れを    くむ刑罰と処分の一元化案など)
 2)刑罰の既成観念をあらためる
  (刑罰は犯罪したことに対する責任のとり方の一種であり、刑罰によって犯罪防止を達成するのだ    とは考えない)

3.犯罪の結果や刑罰の実施に伴う烙印の回避

 刑罰以外の社会的制裁や処分ならば、避難の要素がないから、烙印を回避しうる
 一定の行為に対し一律の非難がかかってこないから行為者に対して処遇の個別化が実現
 「被害者のない犯罪」芝原邦爾(法社会学講座七1973)

4.非犯罪化の論議を通して、犯罪とは何かを法学的、社会学的、社会心理学的に十分検討すること

 従来の科学的犯罪学は、少年院や刑務所の収容者あるいは検挙された被疑者を犯罪者の代表サンプル
 とみなし、一般人を非犯罪者の代表として、両者の差異の発見に努力
 制度が犯罪(者)を作ったりーラベリング理論の視点ー法意識が犯罪(者)を作ったりする側面から、  犯罪に接近することが、もっと望まれる

五 非犯罪化の対象

1.自然犯…人為や時代を越えて普遍的に悪事と考えられている行為
     殺人、放火、近親相姦など

2.古代犯…人為的にきめられるものだが、古い昔より悪事とされてきたもの
     強盗、追いはぎなど

3.法定犯…行政目的や社会規範のため法律上禁止することによって、犯罪とされる悪行の類型
 ア)準犯罪…道徳的良心に裏付けられているわけではなく、文化や制度の違いにより、禁止の程度に        は差異←非犯罪化の対象になりうる
       公金横領、収賄、贈賄など
 イ)被害者なき犯罪…成人間の合意による財やサービスの交換であり、刑事司法機関への自発的届出            の動機をかく悪行の類型←最も多く非犯罪化の対象となる
           堕胎、売春、同性愛、姦通、公然わいせつ、とばく、薬物乱用、薬物所持、
           浮浪、乞食、公然酩酊など

4.新型犯…社会変動や産業化に関連して、新しく出てきた悪行の類型
     公害事犯、業過を除く交通事案、コンピュータや情報利用にまつわる不正、経済や取引上の      悪徳、国際的犯罪など

5.境界犯…法律で処罰される悪事と、されない社会的逸脱の境い目にある行為類型
     条例で規制の対象となっている行為やごく軽微の違法行為、慣習化、常態化している不正、
     ある種の社会運動や不道徳的行動など

六 非犯罪化の論拠

●犯罪化の仕組み、人はある行為をなぜ犯罪とすることができるか
 法益…法律で保護すべき利益、あるいは価値
    人の生命、身体、財産、国家秩序、社会生活の秩序、風俗慣習の一部
 その行為が法益を侵害し、刑罰、ときにはそれ以外の法的処分を科するのに適切な行為を犯罪とする
 
 犯罪化を実効あらしめるためには、人びとの法意識で裏づけられる必要
 法意識…道徳、宗教、世界観、国家観、法についての知識や信念、法に対する役割期待、生活上の
     好都合さの意識などの所産
 
裏づけの仕方の三段構え
 1)その行為を犯罪行為であると評価すること
 2)その犯罪行為をした者は彼であると同一視すること
 3)犯罪行為をした者、つまり、犯罪者を情緒にうったえてイメージ化すること
  背徳者、病人、性格異常者、欠陥者、人生の失敗者、落伍者、怠け者、不運な者などとイメージ化   して、意味を付与し、犯罪行為を映像化する

1.非犯罪化のためには、その行為が反社会的、反規範的行為であると評価しないこと
 かりにそう評価したとしても、法益の侵害はなかったという確信をもつこと

2.刑法と道徳・倫理は別だという考え方
 道徳や倫理にふれる行為のすべてを刑法上犯罪とする必要はない、なるべく少なく規定したい

3.刑法の機能的考察ー刑法の謙抑性の主張
 刑法の主たる機能を市民および財産の保護にありとし、機能を拡大して考えることに反対する立場
 刑法による、人間の社会行動の統制は最後の手段である

4.現実的人間観
 平均的市民というのは、時には道徳的、倫理的誤りをおかすものであり、四六時中、刑法を意識して、  順法行動の決定をしているわけでもない
 刑法に理想的道徳を盛りこみ、それを強制しようとするのは現実的ではなく、しょせん無理なこと
 したがって法律の運用によって過度の法執行をゆるめる(事実上の非犯罪化)か刑法の条項の削除
 (非刑法化)をすすめるかのいずれかになるであろう
 前者の考えをとる場合には、運用の公正という点で、国民が刑事司法機関を信頼していることが前提

5.J.S.ミルの自由主義哲学
 国家が国民の行動に干渉できるのは、その人が他人に危害を加えたとき
 人が他人の自由に干渉できるのは自己防衛のときだけ
 自己防衛を国家に代わってやってもらうという意味で、国家は他人に干渉できる
 そうされることが、本人にとって善か悪かは問わない
 この原理に従えば、法定犯や境界犯の多くは、国家が処罰をもって介入できない

6.刑法は教育的機能を持つという主張
 いくつかの行為をモデルにして、順法態度ができあがれば、その態度が一般化することにより、
 たとえ法に規定されていない行為に対しても自主的コントロールができると考える
 刑法で人をがんじがらめに拘束すれば、人びとの向上心に期待するやり方は、その余地がなくなる
 罰の恐れで条件づけられて、悪いことのできなくなった人間は、自主性のない人間であり、みずから
 の道徳でみずからを律することができない
 
7.非刑罰化の考え方
 底に流れる思想は、国家権力の謙抑性の主張、犯罪者という烙印の回避
 最近の刑罰政策の転回…刑罰依存主義、積極的処遇主義の反省
 
 1)社会内処遇の発展 
  刑務所で刑罰を施行するのは最小限にして、塀の外で社会の空気にふれながら社会復帰の訓練

 2)転換措置(ダイバージョン・プログラム)の発展
  有罪判決を宣告する前に、事実上の手続を終了するやり方
  警察の微罪処分、検察の不起訴または起訴猶予、裁判における宣告猶予、少年手続における不開始、   あるいは試験観察
 
 3)刑事司法における福祉政策の導入
  
 4)犯罪者の人格変容を目ざして強制的の行われる積極的施設処遇の反省
  
 5)刑罰に代わる各種処分の採用

8.実務上の理由から非犯罪化に賛成するのは、捜査力の実効的適正配分という見地から
 つまらない行為を犯罪化しておいて、それに無駄なエネルギーを使うのはどうかという議論

 「生命、身体、財産に直接の侵害、または、その危険をあたえる行為の鎮圧以外の領域に向けられた
 刑事制裁の行使は、処罰の実効性がうすく、かつ、そのために社会の人びとに刑事司法一般に対する
 偽善皮肉の念と無関心冷淡を生じさせ、法を執行する側には違法で堕落、退廃し、かつ、恣意的で
 差別的な捜査を惹起し、しかも刑法による禁止そのものが組織犯罪等の副次的犯罪を助長し、これに
 よって法執行の貴重な人的、物的エネルギーの多くが浪費されてしまう。
 刑法は本来の目的である個人の生命、身体、財産に直接有害で危険な行為の鎮圧のために、その
 エネルギーを集中してふりむけるべきである」カディッシュ
                「被害者なき犯罪」ガイス(法務総合研究所研究部資料27,1974)

捜査力が有限であり、組織がそれの適正配分を考えるのは当然の前提である
ただ、正義追及のための法執行のたてまえ上、無限であるかのように見せかけているに過ぎない
正義が無限である如く、法執行は無限であるという神話によって、国民は安心して日々を送る
捜査力の適正配分が公然と議論される社会は、かなり神話の破綻した社会ではないだろうか

ギベンズの非犯罪化の理由
「非犯罪化をめぐる海外の動向」森下忠(ジュリスト1975.9.1,595号)
1)法律の世俗化の傾向…法律のバックボーンであった宗教的倫理の衰退
2)犯罪の心理学的、社会学的、精神医学的研究の進歩…犯罪の責任は個人よりも社会複合体にある
3)犯罪者の心理療法の進歩…刑罰という苦痛を科さなくとも、犯罪者を改善、社会復帰せしめられる
4)刑法の謙抑性の考え方
5)犯罪の暗数の存在
6)社会的、政治的変動

七 非犯罪化実施の条件

1.非犯罪化をしてその行為がふえても、従来そのような行為をしていなかった人(つまり順法の人)  がその事態に失望せず、社会の価値観が破壊されたとは受けとらないこと
 
 非犯罪化は、多くの場合、その行為を奨励するわけではなく、統制を個人の社会道徳にまかせると
 いうこと
 非犯罪化の前に、その行為に対する寛容度が人びとの間でかなり高まっている必要がある
 要するに人びとの法意識がある程度熟していることが必要

2.かりに当該行為がふえても、他の犯罪に対する刑事政策に対する支持が変わらないということ
 
 非犯罪化する行為が、われわれの法益を侵害するほどのものではないと、人びとの法意識が認める
 必要がある

3.非犯罪化を行ったとき、代替措置が十分良く機能するという見通しがあること

4.犯罪者処遇制度の全否定にならないこと
 
 犯罪者処遇制度の全般的見直しは起ころうが、性急な否定にはならないことが条件

5.必ずしも必要というわけではないが、他の犯罪に対して、効果的統制を増すこと

6.社会生活の秩序の安定感や犯罪とそれに科す刑罰や処分の均衡感が増すということ

 従来の犯罪化政策で達成できなかった安定感の増強が、非犯罪政策によって、多少とも達成される
 ことが必要