カンナビストの会員500名を突破
『CannabisNews』第6号(2001年10月25日発行)より


カンナビストの会員500名を突破
〜大麻自由化のムーブメントは着実に発展しています〜

 カンナビストの会員数が9月に本年度の目標にしていた500名を越えました(9月30日現在532人)。99年7月にカンナビストがスタートして以降、本年1月には数十人だったのですが、予想を越えるスピードで会員が増加しました。
 今年は春すぎからマスコミの新聞記者や芸能人が逮捕される大麻事件が続けて起き、新聞やテレビで騒がれました。こういう事件のたびに、逮捕された当事者は多大な社会的制裁を受けています。
 新聞記者のような会社員の場合は解雇されるとともに、将来にわたり同等の条件・内容の職業への復帰が困難な境遇に陥ります(偏見により社会復帰への道が事実上ほぼ閉ざされる)。芸能人の場合は、プライバシー侵害がまかり通るゴシップ報道の嵐に見舞われ、謹慎・自粛の名の下に芸能活動から一定期間閉め出されます。
 また大麻事件のたびに「大麻=恐ろしいドラッグ汚染」といった、事実に反する表現で、興味本位に一般読者の関心を煽り発行部数を増やそうとする雑誌・新聞、行政当側の過度に大麻を危険視した一方的見解に盲従しているTVなど、マスコミは報道の中立性・客観性を見失っているのではないでしょうか。
 今日、大きな戦争や災害・事故を除いても、狂牛病事件や人命を奪うような凶悪事件、次々に発覚する警察官の犯罪、公金横領を見逃し続けた外務官僚など社会的に重大な事件が多発していますが、その中で、大麻に関わったということがそれほど重大な「事件」なのでしょうか、またそれほど厳しい制裁が必要なのでしょうか。
 今回、カンナビストは大麻事件で社員が逮捕された中日新聞社、及び朝日新聞社に対し、彼らの処遇については人権に配慮してほしいと文書で申し入れをしました。
 
 わたしたちは、日本で大麻の自由化(非犯罪化)を実現するためには、このムーブメントが広く社会的に認知されることが重要だと考えてきました。これまで社会的には「大麻問題」といえば、専ら行政当局サイドの「大麻イコール麻薬」という偏見に基づいた「薬物汚染」「乱用薬物」といった情報だけが一人歩きしてきました。
 大麻が法律で厳しく罰しなければならないほど悪いものではないという事実を知っている人は、日本にも大勢います。しかし、こうした自分の意見を公表することはタブーでした。それが体験や知識に基づいた確信のある意見であっても、公の場でそれを語ることは、自らに不利益をもたらすのではないかという恐れがあって口にできませんでした。
 このような社会状況の中で、大麻について自由に本音で議論し、意見を表明することが抑圧されてきました。
 世界に目を向けると、オランダをはじめとするEU(欧州連合)の主な国々では、大麻の個人使用については自由化、あるいは緩和してきました。それは結局のところ大麻は心身に対して著しい危険性はなく、その所持や栽培が人を逮捕し刑務所に入れるほどの罪ではないことを認めたからでした。EUの国々は市民生活の安全や福祉、環境、人権に配慮していることでは、世界で最も先進的な社会であるといってもいいのではないでしょうか。同じ大麻がEUの国々では容認されていながら、日本では厳罰に処せられるというのは理不尽なことではないでしょうか。
 カンナビストは人道に基づき大麻の規制緩和(非犯罪化)を求めます。大麻は心身の健康にも社会にも著しい弊害をもたらすものではありません。権威ある医学情報源として世界的に認められている『メルクマニュアル医学情報』では「マリファナについては身体的依存の決定的証明はない。アルコールの使用と同じように、マリファナは、目に見える社会的あるいは精神的機能不全、または嗜癖を起こさずに、多くの人が断続的に使っている」とされているのです。
 いま日本では大麻取締法で年間1668件(1999年送致件数、送致人数は1119人)もの事件が起きています。逮捕された人は、数週間から数カ月にわたる拘留、「犯罪者」として裁かれる精神的苦痛、仕事を失う経済的打撃、社会的信用の喪失など、それまでの人生を破壊されています。このような状況は憲法でも保障されている基本的人権を公権力が侵害しているといっても過言ではありません。国(公権力)がむやみに国民を傷つけ社会を歪ませている、そんな矛盾し、誤った状況を一刻も早く是正しなければならないと思います。
 わたしたちは、「大麻問題」について、大麻を使用することによって生じ得る弊害(ほとんどの食品や嗜好品と同様、弊害が皆無だとは言えないのは当然のことです)と、使用者を罰することによる弊害とを比較して、使用者本人あるいは社会に対する危害を最小限に抑えることに主眼を置き対処すべきだと考えます。
 
 わたしたちは、人道に反した無理な要求をしているのではなく、偏見や誤解を解くことを目標にしています。それは世間の無知や無関心を克服していくという点に於いて、今年、ハンセン病の患者さんたちが自らの人権回復をかち取ったハンセン病訴訟の経緯とも共通するものがあります。
 大麻の自由化が実現するかどうかのひとつの鍵は、ムーブメントに対して社会的理解が得られるかにかかっています。それには、まずどれだけの人が大麻の自由化を望んでいるかを示すことが必要です。その具体的な目安として会員数は大きな意味を持っています。
 最後に、大麻の自由化を求めるというカンナビストのムーブメントは、あくまで言論活動であるということを明言しておきたいと思います。大麻取締法は、無免許での大麻の所持と栽培を罰する法律であり、カンナビストは違法行為を呼びかけているのではありません。思想・信条を表明することは憲法でも保障されている基本的人権です。意見(思想・信条)を表明することや会員になることは全く法律には触れません。
 21世紀に平和と人権の守られた自由で暮らしやすい日本を創るための一つの条件として、大麻の自由化が求められているのだとカンナビストは訴えます。

(カンナビスト運営委員会)